秋の京都に行ってきた。
はじめに
秋といえば紅葉。紅葉といえば京都。気候的にもとても過ごしやすく、絶好の行楽シーズンだと言えます。
ところが、こんなに良い季節に限って中間試験やらレポートやらで何かと忙しいのが学生という身分。京都の紅葉を見に行きたいと一回生の頃から思っていましたが、今までなかなか時間を見つけることができずに、気がつけばもう三回生。来年の今頃は研究室の犬になっているだろうから、行くとしたら今年しかない。と思い立ち、学祭の合間を縫って京都へ行ってきたので、そこで撮った写真だったりその場の様子だったりを綴っていきたいと思います。
どこへ行くか
偏に京都と言っても、紅葉の名所と呼ばれる場所は多く存在します。そこで、京都へ行く前にあらかじめ自分でマップを作成しておきました。
大きく4つのエリアに分けると、
- 奥嵯峨・嵐山エリア(地図の左側)
- 宇治エリア(地図の下側)
- 東山エリア(地図の中央右上)
- 大原・八瀬エリア(地図の上側)
になります。紅葉の名所とされる場所はこの地域に集中しているので、紅葉めぐりを考えている方は参考にされるといいかもしれません。
「この地図にマークした場所すべて回るぞ!!」と意気込んで行ったのですが、結果的に私が回れたのは主に奥嵯峨・嵐山エリア、大原・八瀬エリアの一部、東山エリアの一部でした。次項で実際に行った場所を地域別にまとめていきたいと思います。
実際に行ったところ
奥嵯峨・嵐山エリア
嵐山といえば言わずと知れた紅葉の名所。
木々が綺麗に染まり、一句読みたくなります。(なりません)
当然、紅葉シーズンには多くの人が訪れます。昼ごろになると渡月橋は人でごった返し、バーゲンセールの様相を呈します。それを避けるためにも、早朝に行くことを強くお勧めします。
愛宕念仏寺
おたぎねんぶつじと読みます。下の地図を見ると分かるように、嵐山の繁華街から結構離れたところにあります。健脚であれば徒歩で行くことは十分可能だと思いますが、往復で考えると結構な距離になるので、レンタサイクルを利用することをおすすめします。
渡月橋から北へ数キロ進んだところにポツンとあります。なかなかの奥地です。
境内へ近づくにつれ、段々と喧騒が遠のいていく感覚が何とも心地よいです。
▲ 道中にある茅葺の家屋と紅葉がとても趣深いです。
しばらく道を進んでいくと目的地に到着します。
▲ 入口はこんな感じです。
嵐山の繁華街の喧騒はどこへやら。とても閑静な場所にあります。
入口で拝観料を払い境内へ入ります。
▲ 入ってすぐの階段から上を見るとお地蔵さんがいくつか見えます。
参拝客は私のほかに2人ほどです。人も少ないのでゆっくりと見て回れます。
▲ 階段を登りきると無数のお地蔵さんがいます。
仔細に見るとわかりますが、同じ顔のお地蔵さんはいません。どうやらすべて手作りのようです。中にはお地蔵さんらしからぬ鬼の形相をしたものもありました。作り手は複数人なのでしょうか。そうであれば、なにか共通意識を持って作っているのか、はたまた自分の思うままに作っているのか、私、気になります!!
▲ 無数のお地蔵さんに目が行きがちですが、境内の紅葉も素晴らしいです。
▲ 階段の上から美しい紅葉が見えます。
市内にあるお寺などは紅葉がその一部で完結している場合が多いですが、ここでは境内含め、周囲の山全体が紅葉しているので、より紅葉世界に没入できます。
愛宕念仏寺のいいところは、何より人が少ないところですね。アクセスの悪さと引き換えに自分だけの紅葉世界を堪能できます。人ごみに疲れたら足を運んでみるといいと思います。
祇王寺
天龍寺や常寂光寺といった紅葉の名所と近く、アクセスはとてもいいです。
▲ 入口はこんな感じ。
▲ 草庵と苔庭の紅葉がなんとも趣深いです。夏はさぞ苔の緑が美しいんだろうな.....
▲ 上を見上げると竹林と楓が。楓がもっと赤く染まっていたらよりコントラストが綺麗だったろうなぁと思いました。
境内はそれほど広くなく、気づいたらあっという間に出口にたどり着いてしまいました。実は来る前に常寂光寺か二尊院に行くつもりだったのですが、あまりの人の多さに辟易してしまい、入るのを断念。比較的人の少なそうな祇王寺に来たんですが、シーズンの最中ということもあってここもそれなり人がいますね。。それでも他と比べたらだいぶマシだと思います。
大悲閣 千光寺
桂川沿いを上流に向かって30分弱程歩いたところにあります。
桂川沿いは紅葉がとても綺麗で、保津川下りを楽しむ人も多く見受けられました。
目的地までの道中も退屈しないですね。
▲ ここが入口なのでしょうか。これからもまだまだ道は続くような感じがするせいか、判然としないですね。
ここから階段を何段も登っていきます。嵐山の奥地だし、軽い山登りが必要だし、そんなに人多くないのかな、と思いましたが、意外と人いますね。前を歩くカップルがやたらと目につきますが、気にせず歩を進めていきます。
登り始めて10分程でしょうか。ようやく頂上(?)に到着。
▲ この景色が目的でした。
盛りは過ぎってしまった感は否めないですが、汗かいて登ってきた苦労が感動を2割ほど増してくれました。
結構な登りだった気がしますが、千光寺境内には以外と年を召した方が多く見受けられます。皆さんとても元気ですね。何を食べたらあんなに元気でいられるのでしょうか。
ひじきでしょうか?
東山エリア
東山エリアは京都の紅葉の代名詞である神社仏閣が多く存在するエリアです。地方からのアクセスも良く、いわば紅葉激戦区という感じです。
哲学の道
哲学の道は桜があまりにも有名ですが、紅葉もそれなりに綺麗という噂を聞いたので、早朝ぶらりと歩いてみることにしました。京都からバスで銀閣寺前に。銀閣寺橋から南へひたすら歩いていきます。
早朝ということもあって、歩いている人は少ないです。
やはり哲学の道は紅葉の名所ではなく、桜の名所といった感じで、紅葉が美しい場所は結構限られています。噂に聞いた紅葉は虚構だったのかと落胆し始めていたところ.....
法然院の脇を過ぎたあたりでしょうか、綺麗に色付いた場所を発見しました。
▲ まるで葉一枚一枚が光っているかのようです。
写真はだいぶ少ないですが、確かに美しい紅葉を見ることができました。
でもやはりここは桜ですね。桜の季節の早朝、あるいは深夜に浮かぶ白い並木。あまりの美しさに恐怖すら覚えてしまう。。。一度は見てみたいです。
法然院
哲学の道を折れると案内板があります。
▲ ここを右に曲がります。
法然院に到着したのは7:00ごろでしょうか。午前6時から開いているので早朝拝観にもってこいです。早朝だったこともあり、周囲はひっそりとしていて、鳥の鳴き声が響いています。拝観料などを払う必要もなく、自由に行き来できるようなので、気軽に雰囲気を味わうことができます。
▲ 境内に入ってすぐ振り返って撮った一枚。
この眺めは、「そうだ、京都行こう」のポスターでも見たことがあります。
JR東海 そうだ、京都行こう。 1999年 秋 法然院編 - YouTube
YouTubeに動画がありました。撮影の妙というのはすさまじいもので、私が行ったときはこんなに美しい紅葉は見れませんでした。
それから、特に何のあてもなく境内を散策しました。
▲ 盛りが過ぎた後ということもあり、落ち紅葉がたくさんありました。
盛りの紅葉を何年も見たせいか飽きが来てしまい、ついには盛りを終える時期を心待ちにするようになった。と京都在住の有名な写真家の方がおっしゃっていましたが、なんとも贅沢な悩みです。
人込みを避けたいなら早朝から行動するべきだ。とよく言われますが、案外早朝から開いているお寺というのは多くなく、8時とか9時ごろから開くところが多いです。そんな中でも法然院は朝6時から拝観可能という太っ腹ぷり。境内の雰囲気をゆっくりと、随所に垣間見える美意識に思いを馳せたい方は是非、早朝に行ってみてください。
南禅寺
南禅寺は哲学の道のを下っていき、永観堂の脇を通り過ぎたところにあります。
周囲には学校があったりして、私が行った時間は登校時間とバッティングしていたため、多くの生徒とすれ違いました。少し強面な体育教師っぽい人が校門で生徒たちに挨拶をしていました。思えば私が小中学生だった頃も、近寄りがたい体育教師が校門の前に立っていたなぁ~と懐かしく思いながら境内を目指しました。
南禅寺には何度か来たことがあるのですが、三門前の通りと水路閣しかまだ行ったことがありません。境内をくまなく散策するのもありかなと思いましたが、時間もあまりないので舐める程度に楽しみました。
▲ 三門と楓。
▲ 逆光で撮ると燃えているような印象を受けます。
▲ 水路閣の楓もきれいな黄色に染まっていました。
▲ 紅葉の絨毯。
紅葉の時期の南禅寺は、夏行った時とは雰囲気が全く別物で、季節の移ろいを感じました。観光名所であるためか、外国人の姿が多く見受けられました。皆さん大興奮という感じで、シャッターを切りまくっていました。異国の地でこれだけ大胆に振る舞うことができるのは凄いなぁ~と素直に感心したものであります。それはともかく、境内の紅葉はとても綺麗でした。
吉田山界隈
吉田山は京都大学の近くにある山です。
百万遍の交差点から白川今出川通りを京都大学方面に向かって約10分程でしょうか。
麓の大きな鳥居が目印です。
▲ 吉田山のふもとにある鳥居。ここから登っていきます。
▲ 木々に囲まれた薄暗い上り坂を進んでいきます。
▲ 頂上付近の楓がとても綺麗でした。
麓から頂上までは20分程でしょうか。山と呼ぶにはいささか大袈裟な気がするくらい簡単に登れます。丘と表現するのが適切でしょうか。
頂上にはベンチや水飲み場、鉄棒やブランコがあり、憩いの場という感じです。私のほかにも地元の人たちが元気にお話をしていたり。
頂上からすぐのところに竹中稲荷神社というところがあります。ここが穴場スポットで紅葉がとても綺麗なんですが、境内には座って談笑している地元のおばさまらしき方々の声が聞こえます。存分に写真を撮るつもりだったのですが、お話に水を差す気はないので、日が暮れてからもう一度ここへ来ることにしました。その前に一枚。
▲ 入口の付近からの眺め。
そして日が暮れた後、再びここへやってきました。
▲ 日没後の境内の写真。
日中の雰囲気とは打って変わって、不気味ささえ感じます。暗闇に浮かび上がるような提灯の明かりがとても印象的です。
その他
秋の鴨川沿いもなかなか良かったので何枚か載せておきます。
▲ 四条大橋からの景色はいつ来ても撮りたくなります。
▲ 鴨川デルタに射す西日がいかにも秋らしい空気感を演出しています。
▲ 高野川に架かる河合橋から送り火の「法」の山を臨みます。
京都に来て鴨川を歩くのは一つの慣習になりました。季節の空気を感じながら川沿いを歩いている間はとても幸せな気分になります。
大原・八瀬エリア
大原三千院や瑠璃光院が有名なエリアですが、お金と時間の関係でそこへは行かず、叡山電車の三宅八幡駅と一乗寺駅で下車し、その界隈にあるお寺に行きました。シーズンということもあり、叡山電車はほとんど寿司詰め状態。幸い、私が下りた三宅八幡駅ではほとんど人が下りませんでした。おそらく皆八瀬の瑠璃光院へ行ってるんでしょうね。Twitterでも話題になってますし。
紅葉の名所、京都「瑠璃光院」。行列してでも見る価値がある、美しい景色に出会えました。
— ことりっぷ (@cotrip_twi) 2016年12月15日
今年の特別拝観は終わってしまいましたが、いつかの楽しみにぜひチェックしてみてくださいね。
くわしくは⇒https://t.co/V66fviJewq #色づく
<もこたさんの投稿> pic.twitter.com/iseAzd3FDQ
人込みもいやですし、行列も嫌なので、そっち方面へは行きません。
蓮華寺
三宅八幡駅から徒歩15分程のところにあります。
駅から寺の道中に見える山がきれいに色付いていてとても綺麗でした。
▲ ここが入口です。
入口から入ってすぐ、拝観料を払って軽い説明を受けた後、庭のほうへ向かいます。
どうやら一部撮影禁止の場所があるみたいです。
▲ 室内から庭を臨みます。
京都の紅葉といえば、山々が綺麗に色づいた様子というより、このように風景が建物の骨格に切り取られた画を思い浮かべますが、まさにそれをこの目で見ることができました。
何も考えずにこの景色をずっと眺めていると次第に現実感が薄れていき、紅葉の中に飲まれてしまいそうになります。
▲ 着物を着た人もいました。
背後の紅葉と、着物姿のシルエットが見事に溶け込んでいます。やはり、こういう場所には着物が合いますね。
▲ 一歩前に出て庭を撮影してみました。
先ほどの撮影禁止の場所は手前に見える通路から向こう側の場所らしいです。
庭園の雰囲気を存分に楽しんでほしいという意向で撮影禁止としているらしいのですが、日本語の通じない方が撮影をされていて注意されるという一幕がありました。撮りたくなってしまうのも無理はありません。
曼殊院
曼殊院は叡山電鉄の修学院駅、あるいは一乗寺駅から何分か歩いたところにあります。
修学院駅からのほうが近いですが、なぜか私は一乗寺駅から向かいました。
一乗寺駅界隈の通りは、どこか懐かしさを感じるような佇まいの店が多く、落ち着きます。
▲ 夏に糺の森で開かれる古本市でよく見かける萩書房さんの立て看板。
あっ!あいつがいる。と思わず声に出そうになりました。京都は古本屋さんが多いです。私は無類の本好きではないですが、古本屋が放つ独特の雰囲気が好きです。
▲ 曼殊院までの道も紅葉がとても綺麗です。
▲ いくらか進んでいくと曼殊院の門が見えました。
ここから入ることはできないので、素直に入口から入ります。
拝観料を幾円か払って、靴を脱ぎ、順路に従ってお寺の中を歩いていきます。
お寺の中には、歴史的に価値のありそうなものがいくつも展示されていましたが、当方、歴史に関しては関ケ原の戦いと織田信長くらいしか知らないため、特に感動はなく真顔で見ていました。
▲ すこし歩いたところで綺麗な庭園が。
敷き詰めらた石は水面を表しており、緑が広がっている部分は島を表しているらしいです。コンピューターが普及していない頃の人々は、この庭を見てたくさんのことを感じ取り、歌にしたといいます。美しい景色を見て単純に綺麗だとは思いますが、その美しさを歌に昇華できるような想像力も語彙もありませんし、素直に昔の人は凄いなと思います。
庭園を過ぎて出口に向かう最中、幽霊の掛け軸がありました。そこには撮影禁止という文字に加え、「撮影されますと差し障りあることが起こることがあります」との注意書きも。確かに、その掛け軸は何とも不気味で、オカルトとか心霊とかそんな単純な話では済まない何かを内に孕んでいるような気さえしました。触らぬ神に祟りなしとはよく言ったものです。
詩仙堂
曼殊院や圓光寺などからもすぐ行ける距離なのでアクセスはとても良いです。
入口付近にはタクシーを待つ人や、写真撮影をする人でごった返しており、入るのも憚られましたが、せっかくなので行ってみることに。
受付で拝観料を払い、靴を脱いでお寺の中に入っていきます。
▲ 室内から臨んだ庭園。
バックの紅葉がもうほとんど枯れてしまっていて、著しく美しさに欠けますね。もう盛りをとっくに過ぎてしまったようです。
こんな景色をずっと眺めていても何も面白くないので、そそくさと室内を出て再び靴を履き、今度は庭に降りてみることに。
▲ 鹿威しの上に綺麗に並んだもみじ。
小気味よい音を立てていました。もみじが整然と配置されてるところに人為的な何かを感じたのは私だけでないはず。
▲ もうそろそろ日が沈みますね。
▲ 紅葉ももう終わりです。
最後に
全体的に盛りは過ぎてしまった感があった紅葉でしたが、やはり京都の紅葉は素晴らしかったです。
日常的に紅葉を目にすることはありますが、不思議とあまり感動は覚えません。しかし、京都で目にした紅葉は今まで見てきた紅葉とは違い、日本の美意識と融合した、より高次元の芸術品を眺めていたような感じがします。
京都市の紅葉はエリアによって色づく時期が微妙に異なっており、高雄、大原、貴船といった山間部は11月中旬にはもうピークを迎え、東山、嵐山、洛北の紅葉は11月下旬にピークを迎えることが多いようです。そのため、最盛期の紅葉を一度に見ることはできませんが、地域によって違った表情を見ることができるので、そういった点では楽しめると思います。
余談ですが、京都駅には早くもクリスマスツリーが建っていました(11/25)。
綺麗な紅葉を見たあとに、こんなにロマンチックなクリスマスツリーを見られるなんて、自分はなんて幸せなんだろう。。と一瞬思いましたが、隣の仲睦まじいカップルを見て一気に酔いが覚めました。現実とは常に残酷なものです。